吉田:でもさあ、アニメーターって自由だよね。
佐野:自由・・・うーん、まぁ・・・
渚:めっちゃ自由ですよ~。
神志那:めっちゃ自由だと思うよ、俺は。
吉田:おれ、子供に仕事行ってくるねって言って家出てるけど、すげえ気楽だなって思いながら行くことがある。こんな鬼太郎のTシャツ着て電車乗って会社行って。お父さんは仕事っていっても、俺が子供のころの仕事のイメージとはかなり違うなぁって。
石井:しかも電車乗るときの時間も他の人たちと違うんですよね、その、流れが(笑)たまに真逆になってたりとか。
佐野:もうすでに俺手遅れなのかもしれないなぁって・・・
吉田:え!何が?何が?
佐野:一般の人たちとのギャップっていうか、尺度の違いみたいなものを実感できてなくなってるのがやばい気がする・・・。
神志那:おれ50過ぎてるじゃない?去年の正月に同窓会行くと、みんな50代なんだけど、「あ、俺自由だな」って思うもの。自由に生きてきたなっていうのを実感できるから(笑)そんぐらいの年になると。もうみんな疲れてるんだって。すっごい疲れてる。家庭とかね、子供とかね。それはみんなの顔を見てるとね。ああ、自分は自由に生きてきたってのがね、おのずと分かるから大丈夫。
渚:あれ、神志那さんいくつでしたっけ?
神志那:ん?50。今年51になる。
佐野:めっちゃ若いですね。神志那さんに限った話じゃなくて、この業界にいる人ってなんか。
神志那:この業界はそうなんだよ。いかに自由に生きてるかってことなんだよ、結局。
佐野:逆になんか、そういうガス抜きじゃないけど、自由な生き方ができる人が残るんですかね。
神志那:逆にそうともいえるね。どのくらい息抜きを覚えられるかが長生きするコツなんだよ。
石井:もちろん、仕事的に動けないときとかはありますけどね。でも、そういうので自由じゃないっていうのと普段の自由さとはまた違うというか。
佐野:時間さえ許せば別に平日休んでもOKですもんね。
神志那:(普通は)5時から飲めないよって(笑)
渚:やばいやばい(笑)今週まだ2回しか来てないですから、会社に。
佐野:それ問題・・・!
一同笑・騒然
神志那:墓穴掘ってるよ(笑)
吉田:あ、でもこれ聞いてライブに来たら面白い人増えるかもしれないですね。
渚:そうだよ!
佐野:いや、ちょっと待っ・・・
神志那:そりゃ勘違いしないでほしいけどね(笑)
渚:私ね、でも後輩に関してはまじめな後輩がほしいですよ(笑)
吉田:いやいや、違うんだよ。渚さんってレベル高いっすよね、みたいな。なかなか真似できないっすよ、週2なんてって(笑)
渚:まだまだ週終わってないじゃないですか!いま木曜日だもん。
吉田:頑張っても週4が限度ですよ、みたいな(笑)
神志那:金土で一週間分やる気だぜ(笑)
渚:やー、でも今週分の仕事は昨日のうちで終わらせたんで!
吉田:ほらほら、これができないと・・・なかなかできないよ。
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吉田:でもさ、あんだけ忙しい中でもバンドの追っかけやってる石井さんも普通じゃないと思うけどね。
石井:すいません・・・、もう結構色々やばい時期に土日を使って・・・ちょっとホントは使えないような土日だったんですけど・・・ちょっと各地を転々としてきました。
渚:あ、そうなんだ。じゃあ結構石井さんって息抜きが上手な人なんですね!私はどっちかというと真面目に仕事に取り組みすぎてストレス溜めちゃってる側の人かと思ってました。
吉田:いや、だって、石井さんがお土産買ってきてるときって必ず行ってるときだからね。地方に。
石井:食堂のところにお土産ちょっと置いてきたりとか、けっこうしてましたね。よく分かんない地域のお土産があるときは結構・・・
神志那:真面目な人ほどそれができるんだよ。吉松もそうだもん。吉松はすっごい根が真面目だもん。吉松は真面目だからこそ仕事しつつハロプロのライブに奈良行ったり鹿児島行ったり、小樽行ったりしてんだぜ。できないよ、総作監しつつ毎週全国飛ぶって。
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神志那:じゃあそろそろしめようか。自分がいまアニメーターになる前の状態に戻るとしたら、ああ、あれやっときゃよかったっていうのはある?
吉田:あ、俺すごいあるのが、もう今の子はやられてないと思うけど、利き手が左手なのに右に矯正されて右で描いてたんだけど。そういう人ははやく左でいっぱい絵を描いてほしい。10代のときに。
渚:え、なんで、両利きになれってことですか?
吉田:いや、左利き。いや、やっぱり利き手の方が力が強いじゃん。線強いほうがいいから。
渚:あ、勢い的な?やっぱ左利きの人が右利きに直すと勢いが死んだりとかするんですか?
吉田:多分ね。
稲垣:それは自分でやっててそう思うんですか?
吉田:うん。あ、あと自分の妄想を肯定してほしいっすね。何年ぐらい前かな、ライブに履歴書送ってきた人の中で、特技かなんかのところに「妄想」って書いてる人がいて。意外に受けが悪くって。「何妄想って」って。え、それって根本じゃないの?ってすげえ思ったんですよ。
石井:まあでも、それを趣味とか特技のところに書いてくるってのは分からない。根本過ぎてっていう。
吉田:いや、でも俺は別にそれ嫌いじゃないなぁって。
渚:特技に妄想って書いてくるの面白いな(笑)
吉田:なかなかだなぁと思って。まあ入らなかったので、あ、残念・・・って。
佐野:渚さんは息を吸うように妄想してますからね。
石井:いや、でもみんなそれこそ息を吸うように妄想してないと変なんじゃないですか?
渚:そうだよ、みんなしてるでしょ!
佐野:そういうもん?
渚:そうだよ、佐野君だってたいがいだとおもうよ!
佐野:すいませんでした。
石井:だってこういうの描きたいって言うのがすでに妄想はいってるじゃないですか。
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石井:入ってくる前にやっておきたかった事っていえば、もっと絵を描いとけばよかったなと思いますよ。だからそれこそ専門学校のときとかに・・・
神志那:でも相当描いてるじゃん、中学校のときとかに。
石井:いや、でも専門のときとかは学校終わったらずっと家帰ってゲームして三国無双とかやったりとかしてたんで(笑)
神志那:それはやるよ(笑)ゲームも妄想のひとつだよ!
石井:いや、ゲームとかやっちゃってたところと、それこそテレビなんかごろごろしながらただ見てるだけだったんで。もうちょっとそれやりながらも手を動かしたほうがよかったなって。あと、あれだ。なんだろ、今絵かいてる若い人たちとか、もうちょっと紙に書いたりとかもしたほうがいいのかなって。
それこそ、デジタルですごい上手い人とかも紙に描くときっていうのがどうしてもそこのギャップが出ちゃったりもすることもあると思うんで。
渚:デジタルでめちゃくちゃ絵が上手い人ってアナログでかけない人多いですよね。
石井:でも、根本はちゃんと脳内ではできてると思うんですよ。それをこう、どうだすかっていうところで・・・。
神志那:もう画材の問題だよな。どっちで描くかっていう。
渚:なんか修正ができないのが困るっていってましたね。なんか目がでかすぎたなってときとか。完成図は頭の中にあるけど、手が思い通りに動かなくてデジタルだと目だけ修正できたりとかするじゃないですか。だから、すごいイベントでファンの人にスケブ描いて下さいってお願いしたら「あ、私アナログかけないんですよ」っていいながら描くと全然違うんですよ。絵が。
石井:いまどうしても業界のやつがデジタル化が全然できてないっていう。それこそ今お金とか出してくれるんだったらそっちの方面にも推してってくれればいいのに全然それが進んでない感じがするから。だから、もちろんデジタルでやってる人が完全にアナログにすることもなくて、むしろこれからデジタルもちゃんとできながら両方できるようになっといたほうがいいっていうか。
そういうデジタルでやる人たちが仕事できる環境ももうちょっと整ったほうがいいですよね。
渚:どっちもできたらいいですよね!
吉田:あと、本とかにアニメーターはスピードが命だ文言をよく見るから、若い人は早く描く訓練をすることがよくあるけど、最初はやっぱり丁寧にきちんと仕上がることもやっぱり訓練として比重が高いなぁと思って。
石井:やっぱ両極というか、それこそスピードのほうが売りの人たちはスピードプラスでちょっとやっていくようにして付け加えていくっていう感じに。だから逆にそういう人たちがしっかりしっかりってしちゃうとこりかたまっちゃうのかなって。でもやっぱりそういうところを身に着けて欲しいというのもあったりとかもするし・・・、難しいところというか。遅い人とかでもほんとにしっかり描いてくれてほんとに上手い人とかもいるし。だからそれで生きていけるんだったら。
吉田:うん、だからスピードのためにあせった線を引く必要はないと。急ぎながらも落ち着くところは落ち着いた線を引いた上で・・・
渚:落ち着いた線ひけるようになりたいです・・・
吉田:いや、線だけじゃなくてね、絵の形がきちんと・・・ん、違うな。その、ある程度フィニッシュまで持っていけてる上でスピードがあるっていう絵になってればいいんだけど。ただ単にスピードもとめるために薄ーい絵になってると、それは作監が困るっていうことに。
【続く・・・】