アニメーション作画スタジオ:スタジオ・ライブ

第一回作画談義 その6

石井:今からでもできることはできるけど、やっといたほうがいいってのは、それこそ・・・まぁ・・・そういう・・・私生活面のほうは、別に好きなことやってればいいっていう方向で。それこそ技術的なほうで言えば、みたいな話を本来だったらするべきだったんじゃないかな、みたいな(笑)

神志那:この話聞いてる人はそう思うよね(笑)

佐野:でも技術的な話とか、そういうね、こしゃくな話はもう業界入ってから考えればいいよって思いますよ。

石井:まあ、そう、結局のところはそうなんですよね(笑)

佐野:だってさ、やじゃないですか。今アニメーター目指してますとか言う10代そこらのガキとかが、パースがどうのこうのとか言ったらぶん殴るぞ!すっげえ思いますよ。

:(爆笑)なにそれ(笑)

佐野:好きな絵かいてろよ!っておもう。

吉田:なんで、そんなに・・・(笑)

石井:それも結局のところジェラシーですよね。

佐野:いや、ジェラシーすっげえありますよ!自分より若くて絵上手いやつとか全員死ねばいいのにとか思いますもん。

神志那:全員死ねばいいのに・・・(笑)

石井:やばい(笑)お酒が入ってる、完璧・・・

まあアニメーターだからすごいやらないといけないことっていうよりも、まあ絵好きだったら、やってるだろみたいな感じなことのほうが・・・。そこを絵好きだけど、何もやんないんじゃなくて、好きなんだったらちょっとでも何かかじっておいた方が。だからパースだったりとかも、先輩たちは嫉妬するけど(笑)、いまのうちからガンガン描いとけば。先輩たちがどんどん嫉妬するような絵をがんばって描いてきてくれたらいいんじゃないかな、と。

:いいねー。若い子でそんなん一生懸命にやってる子とか、なんかかわいいなぁとか思っちゃいますよ。

佐野:あとなんか、自分の特性みたいなものを見極めておくといいかもしれないですね。

:それでも・・・(仕事)始めてからでいいんじゃないの?

稲垣:うん、まあ分かんないよね。

佐野:さっきから、俺が・・・

:あ、ごめん!ちゃうちゃうちゃう、佐野君のあれ邪魔したいんじゃない、じゃあ佐野君・・・佐野君は・・・すごい尊敬してんですけど。

神志那:いまなんかトーンが下がったよ(笑)尊敬してるのところで(笑)

稲垣:後づけした~(笑)

:違う、ほんとに前提としてあるから・・・

石井:渚さんすごい面白いっすよ(笑)

:もう・・・ごめん!よ、酔ってるんだって、マジで・・・

佐野:いいっすよ、いいっすよ。

:し、信じてない・・・あ、じゃあ行動起こしたらいいんじゃない!

佐野:え、今何の話してるの?

:人と出会うために。だから、アニメーターになるためにしとくこと。

石井:だから、それこそ自分とかだって、ずっと動物しか描いてなかったけど、小学校の高学年で転校して来た子っていう、出会いのおかげでアニメ絵っていうかマンガ絵とか描くようになった見たいな感じで。だから、普通に暮らしてれば出会う人とは出会うっていうかな・・・(笑)

吉田:あの、すごい分かりやすいやっておいたらいいこととして、自分が作りたい作品を一個確実に持っておくって言うのはいいよ。この作品のこういう画面を作りたいとかっていうのは、結構分かりやすい近道な気もする。

石井:吉田さんとかはどういうタイプの作品を・・・

:ありますよね、吉田さん。

吉田:あるね、一番最初はラピュタだったな。ただ、もうひとついうとバイファムだったりするので。

稲垣:それは、変わらないんですか?ずーっと同じなんですか?

吉田:それはね、業界に入る前は自分が目に付くところ、のものを作っていくんだけど、業界に入ったらシリーズにはいるわけじゃん。いい班とか、自分たちの班と違ういいもの作ってる班に負けないように作るっていうふうになっていく。そういうふうによりいいもの作ろうっていうふうに回っていくので、ちょっと業界に入ったら変わっていくけれど、業界に入る前ってのは目標物を、(仕事のようには)自分となかなか関わりをもてないから、自分の好きなものを着地点として持っておくのはいいと思う。

:あ、私、アニメの中ではすっごい好きなのがライジンオーだから、ライジンオーみたいな気持ちになれる作品をつくりたい。なんか観た時すごい衝撃受けました。初めてみたとき、なんかね、パシフィック・リムでもそうだったんですけど、見終わった後にパイロットになってるような感覚の。のめりこみ過ぎちゃって・・・ほんとに主人公になれてるような。見た人間が。

吉田:なんかやくざ物みて、映画館出るときにこう、肩を・・・(笑)

:そうそうそう!ほんとそういう作品が作りたいです!

石井:うちはどっちかというと、子供向けじゃないですけど、それこそ、ちっちゃい男の子とかがみて喜べるような作品を。というかむしろちっちゃいころあれみてました的な作品とかを、やれればいいなっていうのはあったりとかはしますけど。うちがオタクになり始めた、というかなんだかんだアニメ観てるんでオタクっちゃあ、ずっとちっちゃいころからオタクですけど、小学校の高学年から中学校ぐらいのときにあったレッツアンドゴー!とか。ああいうのってちっちゃい子とかも観てるじゃないですか。やっぱり男の子たちが遊んだりとかしてる作品を。大人が見ても普通に楽しめるけど、子供たちが楽しめる。そういう作品にちょっと関わりたいな、とかはあったりして。

:ヒーローごっこしちゃったりするようなね。

石井:そうそう、そういうのもいいし。それこそプリキュアなんてのも結局のところ女の子たちが・・・

:ドレス着て。

石井:うん、まあドレスは別に、まぁ(笑)

吉田:なんかそうなっていくと、その作品に必要な画角とかが決まってくるから。それに合わせたパース、自分の得意なパースを持っとくっていうのは結構分かりやすい話かもしれないね。業界に入る前は。プリキュアだったらプリキュアのパースのつき方、レッツゴーだったらレッツゴーのパースのつきかたとか。芦田さんの作品だったら芦田さんのパースのつき方とか(笑)

:独特(笑)

佐野:俺はどうなんですかね。なんか今までやった仕事だと、スパロボを一話だけメカ作監やったんですけど、あんときが一番楽しかったかもしれないですね。

:え、メカ系なんですか?

佐野:いやね、メカが得意かって言うと全然そういうことじゃなくて・・・

:有機物得意そう。

佐野:どっちかっていうとそうで、メカでも大張さん的なメカって、あれ筋肉が誇張されてああいう形になっていくっていう、そういう感じのメカの方が。結構かっちりしたやつじゃなくて、筋肉じゃない?わりと。ハガレンのマッチョのアームストロング、あれとか描いてたとき楽しいし。割とマッチョ系みたいなのがごりごり頑張るみたいなのが。

石井:そういうのプラス、アクションでウォーっていう感じのが。

佐野:そうですね、アクションも最初そんなに得意ってこともなかったんだけど・・・。でもやっぱり原画マンやってて一番快感を覚えるときって、ラフ原画かいてバーって見たときに、「ああ、動いてる動いてる」ってときが一番気持ちいいかなって気がして。割とそういうほうが、好きなのかな・・・ていう気がするけれど。どうなんだろ。でもいっぱい描くの大変、なんだよね(笑)

吉田:だから、自分の一番好きなものをきちんと描けるようになるっていうのもひとつの攻め方なんだよね。ただ、属性がそれぞれの人にあるから、それが分かると強くなるなぁと思うけど。佐野君はアクションアクションって言ってるけど、でも佐野君が一番好きなのはアクションの後の決めポーズ好きなんじゃないのかなと思って。

佐野:あー!そうですね!

:え、そうなの?

吉田:多分ね、仮面ライダーとかは特撮なので、アクションがあって、そのあとにポーズが決まるのが快感なんだと思うんだよね。佐野君は絶対そうだと思うんだよね。

佐野:そうです、そうです。それです!そう言います、これから(笑)

稲垣:自己発見した(笑)

神志那:よかったね~(笑)

:えー!すごいいいね!この話し合い。

吉田:それはね、結構10代から変わってない気がする。

佐野:あー、そうですね。

神志那:うん、基本は変わってないと思うよ、みんな。

佐野:子供のときのころの何が・・・あ、そうですね。あの、勇者ロボとかが、合体して最後にポーズ決めて、後ろに紋章バーンって出る、あの絵だけ描きたいみたいなさ。

石井:それをやるために、全てのめんどくさい作業をやってやって・・・、
仕事上1カットになってるからしょうがないから前のアクションもやるみたいな(笑)

(一同笑)

神志那:しょうがないから・・・(笑)

吉田:ついに答えが出てしまった・・・(笑)

:前座みたいになってんだ、じゃあ。

石井:でも、だから変な話それでいいってことなんですよね。結局、アニメーターになる動機は(笑)

稲垣:そんなもんでしょうね。

:全然意外だったな、佐野さんのそれ。

吉田:俺も、ラピュタって言ったけど、宮崎さんの作品が好きなのは、フォローが多くて。おれフォローが好きなのね。飛行機が飛んでて、手前から飛行機が来るとか。そういう進んでる空間ってのが好きなの。だから俺、それでサイバーフォーミュラも好きなの。そういう絵が作りたいってのが。あの、似た運動物が二つ動いてるっていう環境が大好き。それは中学校のころから変わらないので。それが自分の属性。

【続く・・・】

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